「体重70kgから月に3kgダイエットしたいけれど、1日に何カロリー減らせばいい?」
ダイエットを始めると、このように具体的な減量ペースから1日の摂取カロリーを決めたくなるものです。
特に筋力トレーニングをしている人の場合、単純に食事量を減らすだけでは、脂肪だけでなく筋肉量やトレーニングパフォーマンスまで落としてしまう可能性があります。
そこで重要になるのが、「どのくらいのカロリー赤字を作るのか」と「PFCをどのようなバランスにするのか」です。
体脂肪を減らすためには、基本的に消費エネルギーよりも摂取エネルギーを少なくする必要があります。
ただし、「月3kg減=必ず1日○○kcal減らせば達成できる」というほど単純ではありません。
体重の減少には脂肪だけでなく、水分、グリコーゲン、消化管内容物なども影響するためです。
この記事では、体重70kgの人が月3kg減を目指す場合のカロリー計算を行い、筋力トレーニングをしている人を想定したPFCバランスについて解説します。
1. 体重70kgから月3kg減はどのくらいのペース?
まず、70kgの人が1か月で3kg減量すると、
70kg → 67kg
となります。
これは1か月で体重の約4.3%を減らす計算です。
週単位に単純換算すると、約0.75kg/週の減量ペースになります。
CDCでは、体重減少は週1~2ポンド(約0.45~0.9kg)程度の緩やかなペースが、より長期的な体重維持につながりやすいとされています。
そのため、月3kgという目標は一般的な範囲に近いものの、70kgの人にとっては決して小さな減量ではありません。
特に体脂肪率がすでに低い人や、筋肉量をできるだけ維持したい人にとっては、より慎重に設定する必要があります。
2. 月3kg減らすには何kcalの赤字が必要?
脂肪1kgを減らすために必要なエネルギー赤字を、一般的な目安として約7,700kcalと仮定して計算してみます。
3kg減らす場合、
7,700kcal × 3kg
= 23,100kcal
となります。
1か月を30日として考えると、
23,100kcal ÷ 30日
= 約770kcal/日
です。
つまり、単純計算では、
1日約770kcalのエネルギー赤字
を30日間作ると、約3kg分のエネルギー赤字になります。
ただし、これはあくまで計算上の目安です。
実際の体重減少は、代謝の変化、活動量の変化、体内の水分量、グリコーゲンの変化などによって計算通りには進みません。
また、減量開始直後は炭水化物摂取量や食事量の変化によって体内の水分量が変わり、脂肪以外の要因で体重が大きく落ちることもあります。
3. 「維持カロリー-770kcal」が目安になる
月3kg減を単純計算するなら、
減量時の摂取カロリー=維持カロリー-約770kcal
という考え方になります。
例えば、70kgの人の維持カロリーが2,500kcalだったとします。
2,500kcal-770kcal
= 1,730kcal
となります。
この場合、計算上は1日約1,730kcalが月3kg減のスタート地点になります。
しかし、ここで注意したいのが、「維持カロリーは体重だけでは決まらない」という点です。
同じ70kgでも、
・身長
・年齢
・性別
・筋肉量
・仕事中の活動量
・歩数
・筋力トレーニングの頻度
・有酸素運動の量
などによって消費エネルギーは変わります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、推定エネルギー必要量は年齢、性別、身体活動レベルなどを考慮して設定されています。
そのため、「70kgなら1,730kcal」と決めることはできません。
4. 例えば維持カロリーが2,700kcalなら?
仮に筋力トレーニングを週数回行い、日常的にもよく動く70kgの人の維持カロリーが2,700kcalだったとします。
この場合、
2,700kcal-770kcal
= 1,930kcal
となります。
つまり、同じ70kgでも、
維持カロリー2,500kcalの人 → 約1,730kcal
維持カロリー2,700kcalの人 → 約1,930kcal
という違いが出ます。
このことからも、ダイエットでは「体重から摂取カロリーを決める」のではなく、まず自分の維持カロリーを把握することが重要だと分かります。
5. ただし、最初から770kcal減らす必要はない
月3kgという目標から逆算すると約770kcalの赤字になりますが、実際のダイエットでは、最初から最大限のカロリー制限をする必要はありません。
例えば、
・食事から300~500kcal減らす
・歩数を増やす
・筋力トレーニングを継続する
・必要に応じて有酸素運動を加える
というように、食事と活動量の両方からエネルギー収支を調整する方法があります。
CDCの資料でも、摂取カロリーを減らすことと身体活動を増やすことを組み合わせてエネルギーバランスを変える考え方が紹介されています。
特に筋トレをしている人の場合、食事だけを大幅に削るよりも、できる範囲で活動量を確保しながら調整するほうが、トレーニングを継続しやすくなります。
6. 筋力トレーニング中は「たんぱく質」を優先する
減量時のPFCでまず考えたいのが、たんぱく質です。
筋力トレーニングをしている70kgの人を想定すると、今回の記事では、
体重70kg × 1.5~2.0g
として、
たんぱく質105~140g/日
を目安とします。
例えば、
70kg × 1.5g = 105g
70kg × 2.0g = 140g
です。
減量中は摂取カロリーそのものが少なくなるため、食事全体の中でたんぱく質を確保することが重要になります。
ただし、たんぱく質を増やせば増やすほど良いというわけではありません。
105~140g程度を一つの目安として、残りのカロリーを炭水化物と脂質に配分します。
7. ダイエット中のPFCはどう設定する?
今回のPFC設定では、
P:25%
F:25%
C:50%
を基本例とします。
一般的な健康的な食事の目標量として、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のエネルギー産生栄養素バランスとして、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%が示されています。
今回のP25%は、この一般的な目標量より高めに設定しています。
これは、この記事では「筋力トレーニングをしながら減量する」という目的を想定し、たんぱく質を体重1kg当たり1.5~2.0g確保することを優先しているためです。
つまり、P25%・F25%・C50%は、すべての人に当てはまる「理想値」ではなく、筋トレをしながらダイエットする場合のモデルケースとして考えます。
8. 1,800kcalならPFCはどのくらい?
例えば、維持カロリーから調整して、1日1,800kcalを摂取するとします。
P25%なら、
1,800kcal × 25% ÷ 4
= 約113g
となります。
これは70kg×1.61gなので、今回設定した105~140gの範囲内です。
脂質25%なら、
1,800kcal × 25% ÷ 9
= 約50g
となります。
残りを炭水化物50%とすると、
1,800kcal × 50% ÷ 4
= 225g
です。
したがって、1,800kcalの場合のモデルPFCは、
P:約113g
F:約50g
C:約225g
となります。
9. 1,900kcalならPFCは?
1日1,900kcalの場合は、
P:約119g
F:約53g
C:約238g
となります。
たんぱく質は70kg×約1.7gなので、筋力トレーニングをしている人の目安として設定した105~140gに収まります。
このくらいの摂取カロリーであれば、主食を完全に抜かなくても、炭水化物をしっかり確保できます。
筋トレを続けながらダイエットする場合、「炭水化物=太る」と考えて極端に減らすよりも、1日の総カロリーの範囲内で適量を摂取することが重要です。
10. 2,000kcalならPFCは?
2,000kcalの場合、
P25% → 125g
F25% → 約56g
C50% → 250g
となります。
70kgの人なら、たんぱく質125gは体重1kg当たり約1.79gです。
今回設定した105~140gのちょうど中間付近になるため、筋力トレーニングをしている人の減量食として考えやすいモデルです。
例えば、
・朝食
・昼食
・トレーニング前後
・夕食
に分けてたんぱく質を摂取すると、1日125g程度を確保しやすくなります。
11. 脂質を極端に減らさない
ダイエットでは脂質を減らせばカロリーを簡単に下げられます。
脂質は1g当たり9kcalなので、ご飯やパンなどの炭水化物よりも少ない量でカロリーが増えます。
しかし、「ダイエットだから脂質ゼロ」という考え方はおすすめできません。
今回のモデルでは脂質を25%程度とし、1,800kcalなら約50g、1,900kcalなら約53g、2,000kcalなら約56gを目安としています。
脂質の量だけでなく、食品の質にも配慮しましょう。
魚、ナッツ類、植物油などを取り入れつつ、揚げ物や脂身の多い肉、バターなどが重なりすぎないよう調整します。
12. 炭水化物は筋トレのためにも必要
減量中でも、炭水化物を完全にカットする必要はありません。
筋力トレーニングを継続する場合、トレーニングのエネルギー源として炭水化物を利用します。
今回のPFCモデルでは、炭水化物を50%程度としています。
1,800kcalなら約225g。
1,900kcalなら約238g。
2,000kcalなら約250g。
というイメージです。
ご飯、パン、うどん、そば、じゃがいも、果物などから摂取できます。
特にトレーニングをする日は、トレーニング前後の食事に炭水化物を組み込むと、食事管理がしやすくなります。
13. 月3kg減を狙う1日の食事例
ここでは、1日2,000kcal程度をモデルにした食事例を考えます。
目標PFCは、
P:約125g
F:約56g
C:約250g
です。
朝食
・ご飯
・卵
・納豆
・焼き魚
・味噌汁
・野菜
朝食からたんぱく質と炭水化物を確保します。
昼食
・ご飯
・鶏むね肉または魚
・野菜
・豆腐
・味噌汁
主食を抜かず、主菜と副菜を組み合わせます。
トレーニング前
必要に応じて、
・おにぎり
・バナナ
・低脂質のパン
などを取り入れます。
トレーニング後
・プロテイン
・おにぎり
・通常の食事
などを利用できます。
プロテインはあくまで補助食品なので、食事からたんぱく質を十分に摂取できている場合は必須ではありません。
夕食
・ご飯
・鶏肉または魚
・野菜
・豆腐
・味噌汁
といった組み合わせにします。
揚げ物などを頻繁に入れると脂質とカロリーが増えやすいため、焼く、蒸す、茹でるなどの調理法も活用します。
14. 「月3kg」という目標にこだわりすぎない
ダイエットでは、設定した数字通りに毎週体重が減るとは限りません。
例えば最初の1週間だけ大きく体重が減ることがあります。
これは脂肪だけではなく、水分やグリコーゲンなどの変化が含まれている可能性があります。
反対に、食事をしっかり管理していても、数日間体重がほとんど変わらないこともあります。
そのため、
「1週間で必ず0.75kg減らす」
というように短期的な数字だけで判断するのではなく、数週間単位の体重の平均値を見ることが重要です。
CDCも、急激な減量よりも、徐々に安定したペースで減量することを推奨しています。
15. 体重が減らない場合の調整方法
2~4週間程度、食事と体重を記録しても体重がほとんど減らない場合は、現在の摂取カロリーが想定よりも維持カロリーに近い可能性があります。
その場合、
・食事量を少し減らす
・間食を見直す
・調味料や油の量を確認する
・歩数を増やす
・有酸素運動を追加する
などの方法があります。
一気に500~700kcalも削るのではなく、まず小さな変更を加えて、その後の体重変化を確認する方法もあります。
特に筋トレ中は、食事を削りすぎてトレーニングの質が大きく低下していないか確認しましょう。
16. 月3kg減よりも「筋肉を残して脂肪を減らす」ことを優先
筋力トレーニングをしている人にとって、ダイエットの目的は単純に体重を減らすことではない場合があります。
例えば、
70kg → 67kg
になったとしても、その3kgのすべてが脂肪とは限りません。
筋肉や水分なども変化する可能性があります。
そのため、筋トレをしている人は、
体重を減らすこと
だけではなく、
筋肉量をできるだけ維持しながら体脂肪を減らすこと
を意識するとよいでしょう。
そのためにも、
・たんぱく質を確保する
・筋力トレーニングを継続する
・炭水化物を極端に減らさない
・睡眠を確保する
・過度なカロリー制限を避ける
といった基本が重要になります。
まとめ
体重70kgの人が1か月で3kg減量する場合、単純計算では、
3kg × 約7,700kcal = 約23,100kcal
のエネルギー赤字が必要になります。
30日で割ると、
約770kcal/日の赤字
が一つの計算上の目安になります。
したがって、維持カロリーが2,500kcalなら約1,730kcal、2,700kcalなら約1,930kcalが計算上のスタート地点になります。
ただし、これは「必ずこのカロリーまで減らせばよい」という意味ではありません。
体重減少は脂肪だけで決まらず、水分やグリコーゲンなども影響するため、計算通りに毎月3kg減るとは限りません。
また、CDCは週1~2ポンド(約0.45~0.9kg)程度の緩やかな減量を推奨しています。70kgから月3kgは約0.75kg/週に相当するため、一般的な範囲には入りますが、筋肉量を維持したい人は特に無理のないペースで進めることが大切です。
筋力トレーニングをしている70kgの人については、今回、
たんぱく質:105~140g/日
を目安としました。
そして、炭水化物と脂質については、モデルケースとして、
P:25%
F:25%
C:50%
というバランスを設定しています。
例えば1日2,000kcalなら、
P:約125g
F:約56g
C:約250g
となります。
ただし、このPFCバランスは「すべてのダイエットにおける絶対的な正解」ではありません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の目標量として、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%が示されています。
今回のように筋力トレーニングをしながら減量する場合は、体重1kg当たり1.5~2.0gのたんぱく質を確保することを優先し、その残りを炭水化物と脂質に配分するという考え方が分かりやすいでしょう。
最終的には「月3kg」という数字だけを追いかけるのではなく、体重の推移、ウエスト、見た目、トレーニングパフォーマンスなどを確認しながら、摂取カロリーを少しずつ調整することが重要です。
無理に食事を削り続けるのではなく、筋肉をできるだけ維持しながら脂肪を減らすことを目標に、継続できるダイエットを行いましょう。
【追記】-----------------------
Q&A
Q:C:約250gだと1日3食ごはんを食べると量を超えませんか?
A:はい、**「C:約250g」を炭水化物そのものの重量ではなく、栄養成分としての「炭水化物250g」**と考えると、ごはん3食でも十分調整できます。
例えば、白米の炭水化物量をざっくり100gあたり約37gとして考えると、
ごはん150g × 3食 → 約166gの炭水化物
ごはん200g × 3食 → 約222gの炭水化物
ごはん220g × 3食 → 約244gの炭水化物
となります。
つまり、1食200~220g程度のごはんを3食食べるだけなら、炭水化物250gを大きく超えるわけではありません。
ただし、ここに注意が必要です。
ごはん以外の炭水化物も加わります
1日の炭水化物量は、ごはんだけで決まるわけではありません。
例えば、
朝
ごはん200g
味噌汁
納豆
果物
昼
ごはん200g
鶏肉
野菜
夜
ごはん200g
魚
野菜
とすると、ごはんだけで約220g前後の炭水化物になります。
さらに、果物、野菜、調味料、乳製品などに含まれる炭水化物が加わるため、1日の総炭水化物量は250gを超える可能性があります。
そのため、前の記事の「2,000kcal・C約250g」は、ごはんを3食食べる場合にはかなり意識して量を調整する必要がある設定です。
そして、前の記事にはもう一つ重要な点があります
実は、前の記事で設定した
P25%・F25%・C50%
は、たんぱく質125g、脂質約56g、炭水化物250gになりますが、「Pを体重70kg×1.5~2.0g」という条件から考えると、必ずしもP25%に固定する必要はありません。
例えば70kgで筋トレをしていて、
P:130g
F:60g
C:残り
というように設定するほうが、実際の食事に落とし込みやすい場合があります。
2,000kcalなら、
P 130g → 520kcal
F 60g → 540kcal
残り → 940kcal
C → 約235g
となります。
このくらいなら、ごはんを3食食べながら、果物や野菜などの炭水化物も組み込みやすくなります。
結論としては、「ごはん3食=炭水化物250gを超える」というわけではありません。ただし、ごはん以外の食品に含まれる炭水化物まで考えると、250gはそれほど余裕のある設定ではありません。
-----------------------------------参照一覧
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」
・CDC「Steps for Losing Weight」
・PubMed「Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes」

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